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講談社
作/佐野洋子
税込価格 1,050円 |
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嫌だったら、イヤ!! |
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おぼえていろよ! |
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どうしても嫌いなもの |
この表紙の絵にいるおじさんは、
皆がうらやましがるこのおおきな木が大嫌い。
この木があると小鳥が飛んできてうるさいし、ふんをされることも・・・そのたびに「おぼえていろよ」と呟きます。
そしてある日、頭にきたおじさんはとうとう木を切ってしまいます・・・でも・・・ |
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失ってから知る大切さ |
「100万回生きたねこ」など佐野洋子さんの作品らしさがこの本にもあります。
人間のもつ嫌な感情をよく表現していると思います。
この木が嫌いなおじさんはいつも木に向かって「おぼえていろよ」と呟く。
こんなことを書いてる子どもの本が他にあまりないと思います。
(多分ないでしょう)
そんなことが書かれているなら、この本は読みたくないとお思いの方もいることでしょう。
ですが、「おぼえていろよ」と相手に対して嫌悪感を表す感情は誰にでもある人間の感情であり、それを正面から捕らえ子どもにもわかるように描かれています。
嫌悪感から木を切ってしまうおじさんのその後の心の動揺や変化も本当に上手に描かれており、あまり「いい人」とはいえないこのおじさんに対しても、客観的に捉え共感することができます。
絵本でこのような題材で、それをきちんとした作品に仕上げてしまっているところが、佐野洋子さんの素晴らしさだと思います。
「良い」を教えるためには本当は「悪い」を知らなければならない。
「悪い」を知ってこそ本当の「良い」を知ることができるのです。
絵本に親しんでいる子なら4歳くらいから小学生でも十分読める本だと思います。 |
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